時代の変遷とともに、私たちの経済環境は大きく変化してきました。かつての「モノ中心」の社会から、現在は「コト重視」の経済へと移行しています。この変化は、消費者の価値観だけでなく、ビジネスのあり方やリーダーシップのスタイルにも大きな影響を与えています。
モノ中心の時代
特徴:
- 車や家電などの「三種の神器」や「3C」が欲しがられる時代
- モノを作れば売れる環境
- 改善活動により低価格、高品質、短納期を達成することが目標
ビジネス環境:
- 数値化しやすい目標設定
- 現状の延長線上に目標を置ける
- 先が見通しやすい
求められるリーダーシップ:
- 統率型リーダー
- 指示・管理・指導重視
- 組織、メンバーの同質性と効率を重視
コト重視の現代
特徴:
- モノがあふれ、個人の価値観や多様性が重要
- 体験価値にシフト
ビジネス環境:
- ユーザーインサイトなど、数値化しづらい目標
- 正解が不明確
- 常に変化する環境
求められるリーダーシップ:
- 成長支援型リーダー
- 対話・共創・学習を重視
- 人的資本を重視する戦略
新しいリーダーシップモデル
- トランスフォーメーショナルリーダーシップ(TFL)
- 明確なビジョンを掲げる
- 仕事の魅力を伝える
- 新しい視点を奨励
- 部下の成長を重視
- シェアード・リーダーシップ(SL)
- グループ内の複数メンバーがリーダーシップを発揮
- 全員がミッションを自分事として捉える
- 知識の融合を積極的に行う
現代の経済環境では、上記のTFLとSLを組み合わせたリーダーシップが最も効果的とされています。これは、多様性を重視し、常に変化する環境に適応するために必要な柔軟性と創造性を促進するからです。
日本企業の課題
多くの日本企業では、いまだに統率型のリーダーシップが中心となっています。この組織主義的な体制が、コト重視の経済環境への対応を遅らせる要因となっています。
課題:
- 経営層の意識変革の遅れ
- プロダクトアウト的なマーケティングの継続
- ユーザーインサイト発掘の不足
これらの課題を克服するためには、リーダーシップの変革が不可欠です。ユーザーインサイトの発掘を重視し、多様な価値観を受け入れる組織への移行が求められています。
まとめ
経済のパラダイムシフトに伴い、リーダーシップのあり方も大きく変化しています。モノからコトへの移行は、単なる消費傾向の変化ではなく、ビジネスの本質的な変革を要求しています。これからのリーダーは、多様性を尊重し、チーム全体の成長を促進する能力が求められるでしょう。日本企業が国際競争力を維持・向上させるためには、この新しいリーダーシップモデルへの移行が不可欠です。
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