連載「AIで言語化トレーニング」も、今回が最終回です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この連載は、Kindleで出版した本『AI×言語化の教科書 ~1日5分の脳トレで「伝わらない」から解放され、「選択の自由」を手に入れる~』をもとにしています。最終回では、本の内容と、ブログでは書ききれなかったことを紹介します。
あわせて、連載全体で伝えたかったことを振り返ります。
この本を書いた理由
私は長く、工作機械や産業用ロボットの制御を設計する仕事をしてきました。この仕事では、「なんとなく」の指示は通じません。目に見えない信号を、正確な数字と手順に置き換えて、はじめて機械は動きます。
一方で、人と話す場面では、私自身も「頭の中にはあるのに、うまく言えない」ことが何度もありました。あるとき、これは機械の設計と同じで、考えを言葉に置き換える手順が足りないだけではないかと気づいたのです。
そして今は、その手順を手伝ってくれるAIがあります。ただし、AIに文章を書かせる本はすでにたくさんあります。私が書きたかったのは、AIに任せるのではなく、AIを相手に自分の考えを育てる方法でした。
どんな人に向けた本か
この本は、次のような方のために書きました。
- 頭の中に考えはあるのに、会議や打ち合わせでうまく言葉にできない
- 説明したつもりなのに、相手に違う意味で受け取られることがある
- AIを使ってみたが、ありきたりな答えしか返ってこなかった
- 周りの意見や職場の空気に流されず、自分で納得して選びたい
- 毎日忙しく、まとまった勉強の時間は取れない
逆に、AIに文章を代わりに書かせるテクニックや、AIの最新機能を詳しく知りたい方には向きません。本書は、AIを道具として使いながら、自分の考える力と伝える力を育てることに絞っています。
本の構成
本は、はじめにと5つの章、おわりにでできています。連載の各回と、本の章の対応は次のとおりです。
| 本の章 | 内容 | 連載の回 |
|---|---|---|
| はじめに・第1章 | 言語化力がもたらす、人生における「選択の自由」 | No.01 |
| 第2章 | AIを最高のパートナーにする「エンジニア的・思考整理術」 | No.02 |
| 第3章 | 1日5分!AIと話すだけの「言語化脳トレ」実践ワーク | No.03 |
| 第4章 | 相手の迷いを先回りし、人を動かす言葉の技術 | No.04 |
| 第5章・おわりに | 思考の自動化を日常に落とし込む継続の仕組み | No.05 |
章の順番は、自分の考えを整理する段階から、相手に届ける段階、そして続ける段階へと進むように並べています。どの章から読んでも意味がわかるように書いていますが、初めての方は順番どおりに読むのがおすすめです。
ブログでは書ききれなかったこと
連載では、「なぜそうするのか」という考え方を中心に書きました。本には、それに加えて次のような内容が入っています。
エンジニアと投資家の目で見た言語化
本では、制御設計の仕事と18年以上の個人投資の経験から、言語化を「技術」としてとらえる考え方を、もう少し踏み込んで書いています。感情をデータとして扱うとはどういうことか、相場が荒れたときに自分をどう落ち着かせてきたかなど、ブログでは短くしか触れられなかった話です。
毎日のワークの具体的な場面
第3章では、通勤やキッチン、お風呂の時間など、生活の場面ごとに、1日5分のワークがどう溶け込むかを描いています。音声配信で聞いた話を、翌日に職場で出せる提案に組み直す流れも、場面に沿って紹介しています。
人を動かす言葉の考え方
第4章では、提案や説明だけでなく、将来、自分で何かを発信したり売ったりするときにも使える「相手の迷いを先回りする」考え方を扱っています。相手の不安に先に答えることが、なぜ信頼につながるのかを、いくつかの場面で説明しています。
読む前によくいただく質問
どのAIのアプリを使えばよいですか
音声で話しかけられて、話した内容を整理してくれるものなら、どれでもかまいません。GeminiやChatGPTのように、マイクのボタンから話しかけられるアプリが使いやすいと思います。
大事なのはアプリの種類ではなく、毎日マイクのボタンを押すことです。すでにスマートフォンに入っているものがあれば、まずはそれで始めてください。
有料のプランは必要ですか
多くのAIのアプリには、無料で使える範囲があります。本で紹介している1日5分のワークは、まずは無料の範囲で試してみて、足りないと感じてから考えれば十分です。
話すのが苦手でも続けられますか
むしろ、話すのが苦手な方にこそ試していただきたい方法です。AIは聞き返したり、表情を変えたりしません。言いよどんでも、言い直しても、そのまま受け止めて整理してくれます。
人前で話す練習ではなく、自分の頭の中を片づける練習だと考えてください。うまく話そうとしなくてよい、というのがこのワークのいちばんの特徴です。
仕事の話をAIにしても大丈夫ですか
社外に出せない情報や、人の名前、具体的な数字は話さないようにしてください。「ある取引先」「Aさん」のように言い換えても、気持ちや考えを整理するには十分です。会社でAIの使い方に決まりがある場合は、その決まりを優先してください。
連載のふり返り
この連載で伝えたかったことを、あらためて並べると次のとおりです。
- 言葉が出てこないのは、才能や性格のせいではない。頭の中を言葉に置き換える手順が足りないだけ
- AIには答えを作らせるのではなく、話したことを整理してもらう
- 1日5分、吐き出して、整理してもらい、聞いた話を自分の言葉に組み直す
- 相手の不安をAIで先回りして見つけ、答えを提案の中に先に入れておく
- やる気に頼らず、毎日の待ち時間に埋め込んで続ける
言葉にできれば、選べる
どの回にも共通していたのは、「言葉にできないものは、選べない」という考え方です。もやもやに名前がつけば、自分がどうしたいのかが見え、次の行動を自分で選べるようになります。
同じ行動でも、理由を自分の言葉で持っていれば、それは誰かに流された結果ではなく、自分で選んだ道になります。この感覚を、連載を通して少しでも持ち帰っていただけたらうれしいです。
連載を読み終えた今日、できること
本を読むかどうかにかかわらず、今日のうちに一度だけ試してみてください。
- AIのアプリを開いて、マイクのボタンを押す
- 「この連載を読み終えて、今こう感じている」と1分だけ話す
- 「私が大事にしていることを3つ、短い言葉で整理してください」と頼む
返ってきた整理を読んで、しっくりくるものがあれば、それがあなたの最初の言葉です。違うと感じたら、どこが違うのかを話してみてください。それもまた、立派な言語化の一歩です。
本を読むときのおすすめの進め方
本は、1日に1章ずつ読み、その日のうちに章のワークを一度だけ試すのがおすすめです。読むだけで終わらせず、実際に声に出してみると、内容が体に入ってきます。
第3章まで読んだら、しばらく5分のワークだけを続けてみてください。慣れてきたところで第4章と第5章を読むと、相手に届ける段階と続ける段階が、自分のこととして読めるはずです。
本書はKindle版で、Kindle Unlimitedの対象にもなっています。AIを相手に、自分の考えを自分の言葉にしていく練習を、もう一歩深めたい方は、手に取っていただけるとうれしいです。
連載「AIで言語化トレーニング」目次
- No.01 言語化は才能ではなく技術。「なんとなく」を言葉にすると、選ぶ自由が戻ってくる
- No.02 AIに丸投げせず「しゃべる」。音声入力で、整える前の考えをAIに渡す
- No.03 1日5分、AIに話すだけ ― 吐き出す・整理してもらう・聞いた話を自分の言葉にする
- No.04 相手の「やらない理由」をAIで先回りする ― 提案が通る伝え方
- No.05 気合に頼らず「待ち時間」に組み込む ― 言語化を続ける仕組み
- No.06(最終回)連載のもとになった本『AI×言語化の教科書』の紹介(この記事)
この連載のもとになった本
この連載は、拙著『AI×言語化の教科書 ~1日5分の脳トレで「伝わらない」から解放され、「選択の自由」を手に入れる~』(Kindle版)の内容をもとにしています。
本では、AIに文章を任せるのではなく、AIに話しかけて自分の考えを整理する「1日5分の言語化脳トレ」を、制御エンジニアと個人投資家の視点からまとめました。もやもやに名前をつける考え方から、相手の迷いを先回りする伝え方、毎日の待ち時間に組み込んで続ける仕組みまでを一冊で扱っています。
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出典:著者の経験にもとづく(制御設計の仕事、18年以上の個人投資)

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