今回はコチラの書籍「IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル」大野治 著を参考に最近よく耳にする言葉だけれども結局イマイチよく分からない単語のひとつIoTについて情報を整理してみました
著者の主張によるとIoTの全体像を俯瞰するために8つの層に分類し3つの戦略という観点で語られているようです
8つの技術階層
- Operation(運用サービス)
- Introduction(導入サービス)
- Application(アプリケーションソフト)
- Platform(プラットフォーム)
- Analytics(分析、AIの利用)
- Cloud(クラウド、データベース)
- Connectivity(コネクティビティ)
- Things(モノ)
3つの戦略
- 垂直統合戦略
- 水平横断戦略
- モノ重点戦略
IoTの背景
全体的な背景としては、ドイツ政府が2011年に採択した「インダストリー4.0」やアメリカのGE、インテル、IBM、シスコ、AT&Tの5社が設立した「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」などがIoTの先駆けと言われています
日本はこれに遅れて後追いでIoTを進めている形になるそうです
展示会での聞き取り情報
産業用IoTとしてはドイツのSIEMENS社のIoTプラットフォームであるMindSphereを同社では「産業向けIoTのOS」と位置付けており、サプライチェーン全体の管理を視野に入れたワールドワイドかつ業種、業態に寄らない汎用的なシステムなようです
各工場や生産ラインといったエッジ寄りのシステムについては各国のエッジヘビーなIoTプラットフォールを提供するメーカーとの提携を目指しているとのこと
エッジヘビーなIoTシステムをクラウドベースであるMindSphereとのゲートウェイとして機能させることで役割分担・すみ分けを図るような戦略と思われます
日本企業としては富士通のColmina、日立製作所のLumadaなどが有名で、特に産業向けFAメーカーであるFANUCについてはIoTプラットフォーム FIELD SYSTEMを展開しており、このプラットフォームを利用して協賛する企業が目的別のアプリを開発・販売するといった形式を採っているようです
IoTプラットフォームをベースとして業種や業態ごとに自社に最適なアプリを選定し購入、もしくはアプリ開発用のAPIも公開されているため自社開発するなど選択の余地がありそうです
当のFANAC社自体はもともとロボットや工作機械向けのNCなどの製品群に強みがあり、コネクテッド分野での強みがあるためFIELD SYSTEMはエッジ領域に重点を置いたIoTプラットフォームとも言えるのではないでしょうか?
エッジ寄りである強みとしてはクラウドとのやり取りで発生する通信上のタイムラグを短縮し、リアルタイム性の高い処理システムとなることだろうと想像します
いずれにしてもどんな企業でも1社のみでサプライチェーン全体を管理するような大きな枠組みでのIoT全体を網羅するサービスを提供することは難しく、各分野で強みをもつパートナー企業と提携することで補完しあう形態に進んでいくように思われます
各企業が流行りに乗ってIoTと銘打った商品を続々と投入しているが、結局のところ「何を実現したいのか?」「どういった課題を達成したいのか?」が明確でないと本質を見失う結果となることは明白です
大まかに分類すると以下のような位置づけになるのではないでしょうか?
- 経営視点でのサプライチェーン全体の管理、クラウドベース、アナリティクス分野重視⇒SIEMENS社(MindSphere)、GE社(Predix)、SAP社(SAP Cloud Platform、SAP HANA)
- エッジ寄りだがコネクテッド分野については他社システムとの連携を視野に入れているクラウドベースのIoTプラットフォームとのゲートウェイ的な存在⇒富士通 COLMINA、日立製作所 LUMADA
- エッジヘビーでコネクテッド分野に強み、現場でのリアルタイム性を重視、ラインや工場の最適化目的⇒FANUC FIELD SYSTEM
解説動画を参考にさらに内容を整理してみました!
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