前回は、Googleドライブに資料を置き、Geminiに読ませました。自分の紙の話が返ってくる。それだけで、AIはぐっと身近になります。
ただ、一つ手間が残っています。読ませるたびに、資料を選んで渡さなければならないことです。渡し忘れれば、AIはまた世の中の一般論に戻ってしまいます。
今回つくるのは、最初から資料を抱えている相手です。開けばもう読んでいて、聞けば必ずあなたの資料をもとに答える。その道具が「Gemini Notebook」です。
NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」になった
Gemini Notebookは、少し前まで「NotebookLM」という名前でした。Googleは2026年7月16日に、名前をGemini Notebookに変えると発表しています。
変わったのは主に名前とロゴで、これまでのノートブックや共有のリンクはそのまま使えます。古い解説記事や動画で「NotebookLM」と書かれていても、同じものだと思ってください。
この連載のような入門の範囲なら、個人のGoogleアカウントで無料のまま使えます。
普通のGeminiと、何が違うのか
いちばんの違いは、答えを探しに行く先です。
| 普通のGemini | Gemini Notebook | |
|---|---|---|
| 答えのもと | 世の中の膨大な文章で学んだ知識 | あなたが入れた資料 |
| 資料の渡し方 | 聞くたびに選んで渡す | 最初に入れておけば、毎回渡さなくてよい |
| 答えの出どころ | 見えにくい | 資料のどこを見て答えたかが示される |
| 向いている問い | 世の中の一般的な話 | 「うちの規約では」「この書類では」という問い |
普通のAIは、何を聞いてもそれなりの答えを返します。便利ですが、その答えがどこから来た話なのかはわかりません。
Gemini Notebookは、答えを探す範囲が、あなたが入れた資料に絞られています。資料に書かれていないことを聞けば、「その情報は資料にありません」と返ってくることが多くなります。
出どころをその場で確かめられる
一見、不便に思えるかもしれません。けれども、これがいちばんの長所です。返ってきた文章のそばに、資料のどの部分を見て答えたのかが示され、そこを押せば元の文章に飛べるからです。
この連載のルール2は「答えは下書き」でした。このルールのいちばんの難しさは、確かめる手間です。Gemini Notebookでは、その手間がずっと小さくなります。
ただし、これも完璧ではありません。資料を読み違えることも、書かれている内容から踏み込みすぎた答えを返すこともあります。大事な日付と金額は、やはり元の資料で確かめてください。
ノートブックをつくる
Gemini Notebookを開いて、新しいノートブックをつくります。見つからなければ、ブラウザで名前を検索して開いてもかまいません。
つくると、資料(ソース)を入れるよう促されます。ここで入れるものが、そのノートブックの中身になります。Googleのヘルプによると、入れられるものは幅広く、たとえば次のようなものです。
- Googleドライブに置いたドキュメントやスライド、スプレッドシート
- PDFやWordのファイル、画像
- ウェブページのURL、YouTubeの動画
- コピーして貼り付けた文章
無料で使う場合、1つのノートブックに入れられる資料は最大50個です。最初は、前回ドライブに入れた3つ(書類の写真、自分が書いた文章、困っていることのメモ)を入れれば十分です。
読み込みが終わったら、「入れた資料を全部読んで、それぞれどんな内容か一行で教えてください」と聞いてみてください。返ってくるのは、あなたが入れた資料の話だけです。

何を読ませるかで、価値が決まる
Gemini Notebookという道具は、誰が使っても同じものです。それなのに、できあがるAIの価値は人によってまったく違います。違いを生むのは、何を読ませたかです。
町内会の役員の方が、規約と過去の議事録と会計報告を入れたとします。すると「この支出は前例があるか」「この手続きは規約のどこに書いてあるか」に、その場で答える相手ができます。親の介護をしている方が、病院の説明書や役所の案内、これまでの経過メモを入れれば、家の事情に沿って次の一手を考える相手になります。
最初に入れるなら、いちばん繰り返し調べている資料がおすすめです。年に一度しか見ない資料より、月に何度も探している資料のほうが、効果をすぐ実感できます。
同じ資料から、引き出し方を変える
慣れてきたら、頼み方を変えてみてください。同じ資料からでも、引き出せるものが変わります。
- 要点をまとめてもらう:「この資料を三行にまとめてください」
- 質問に答えてもらう:「この場合の手続きと期限を教えてください」
- 足りないものを教えてもらう:「この資料に書かれていないことは何ですか」
- 説明し直してもらう:「この書類の内容を、家族に説明する言葉に書き直してください」
難しい頼み方を覚える必要はありません。第4回でお伝えした「誰に・どれくらいの長さで・何のために」を添えるだけです。
つまずいたときと、育て方
使い始めると、戸惑う場面がいくつか出てきます。
| 場面 | 考え方と対処 |
|---|---|
| 「その情報は資料にありません」と返ってくる | 故障ではなく、正しく働いている証拠。答えが書かれた資料を足すか、一般的な話なら普通のGeminiで聞く |
| ほしい答えが返ってこない | 聞き方が漠然としていることが多い。「この規約から、備品を買う手続きだけを順番に抜き出して」のように具体的に頼む |
| 町内会の話に家計の資料が混ざる | 資料の入れすぎ。目的ごとにノートブックを分ける |
長く使うこつは3つです。
- ノートブックは目的ごとに分ける:町内会と介護と家計を一つに混ぜると、答えがぼやける。分ければ、それぞれが専門家のようにふるまう
- 資料はそのつど足す:新しい通知が届いたら、そのとき入れる。一度に完璧を目指さない
- 入れる前に一度目を通す:口座番号や他人の個人情報が載ったもの、別の紙が写り込んだ写真は外す
普通のGeminiとの使い分け
Gemini Notebookができても、普通のGeminiが不要になるわけではありません。自分の資料についてはGemini Notebook、世の中の一般的な話は普通のGemini。この住み分けが、いちばん快適です。
迷ったら、「この答えは、私の手元の資料に書いてあるはずのことか」と考えてみてください。そうならGemini Notebook、そうでなければ普通のGeminiです。
まとめ
- NotebookLMは2026年7月16日に「Gemini Notebook」へ名前が変わった。中身とデータはそのまま
- Gemini Notebookは、入れた資料だけをもとに答え、出どころをその場で示してくれる
- 無料なら1つのノートブックに資料を最大50個まで入れられる
- 価値を決めるのは、何を読ませるか。まずは繰り返し調べている資料から
- 目的ごとにノートブックを分け、資料は一枚ずつ足していく
次回は連載の最終回です。この連載のもとになった本の内容と、ブログでは書ききれなかったことを紹介します。
連載「Googleで始める自分だけのAI」目次
- No.01 50〜60代の3人に1人がAI未使用。止まっているのは能力ではなく「入口」
- No.02 AIはGoogleアカウントから始める。無料・もう持っている・どこでも通用する3つの理由
- No.03 Googleアカウントの「入場券」を整える ― パスワードの考え方、2段階認証、家族と分け合わない
- No.04 Geminiを安心して使う3つのルール ― 個人情報は書かない、答えは下書き、わからなければ聞き返す
- No.05 最初の一週間に試したい5つの使い道と、聞き方に迷ったときの相談のしかた
- No.06 AIが「自分事」になる瞬間 ― Googleドライブに資料を置き、引き出しを仕切る
- No.07 NotebookLMは「Gemini Notebook」に。自分の資料だけを読むAIのつくり方と育て方(この記事)
- No.08(最終回)連載のもとになった本の紹介
この連載のもとになった本
この連載は、拙著『Googleアカウントひとつ 3日でつくる自分だけのAI 「大事なのはわかってる、でも使えてない」からの卒業講座』(Kindle版)の内容をもとにしています。
本では、Googleアカウントの確認から、Geminiとの話し方、Googleドライブへの資料の置き方、Gemini Notebookで自分の資料だけを読むAIをつくるところまでを、3日分の道のりとして一冊にまとめました。新しいアプリも月額料金も使わず、スマートフォンひとつで進められるように、画面ごとの手順と図解を載せています。
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出典:Google Workspace Updates「NotebookLM is now Gemini Notebook」(2026年7月16日)、Gemini Notebook ヘルプ「ノートブックの新しいソースを追加または検索する」

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