Geminiに最初の一往復ができた。3つのルールもわかった。それでも、次の日にもう一度開くかどうかは、別の話です。
開くたびに「さて、何を聞こうか」で止まってしまうと、だんだん開かなくなります。使い続けるこつは、使い道を先に決めておくことです。
今回は、最初の一週間に試してほしい使い道を5つ紹介します。どれも前回の3つのルールの範囲内で、確かめる手間がほとんどかからないものです。
最初の一週間におすすめの5つ
まず全体を表にまとめます。
| 使い道 | 頼み方の例 | 間違っていたときの影響 |
|---|---|---|
| 1. 届いた通知を訳してもらう | 「この文章を、何をすればいいかがわかるように普通の言葉で説明してください」 | 小さい。最後は元の通知で確かめる |
| 2. 手紙や挨拶文の下書き | 「お世話になった方へのお礼状を、二百字くらいで、かしこまりすぎない言葉で書いてください」 | ほぼない。自分の言葉に直して使う |
| 3. 献立を考えてもらう | 「冷蔵庫にキャベツと豚肉と卵があります。これで作れる夕飯を三つ教えてください」 | ない。気に入らなければ作らない |
| 4. 調べ物の整理 | 「年金の繰下げ受給について、まず全体像を五行で教えてください」 | 中くらい。大事な数字は公式の情報で確かめる |
| 5. 話し相手になってもらう | 「考えがまとまらないので、話を聞いて整理してください」 | ない。整理の手伝いとして使う |
5つに共通しているのは、間違っていても実害が出にくいことです。まずは失敗しても困らない場面で慣れる。これが、いちばん安全で、いちばん早い上達の順番です。

一週間の進め方の例
5つを一度に試す必要はありません。1日に1つ、5分だけ触る。それくらいの気持ちで十分です。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1日目 | 献立を相談する(いちばん気楽な使い道から) |
| 2日目 | 届いた通知を一通、普通の言葉にしてもらう |
| 3日目 | お礼状や挨拶文のたたき台を作ってもらう |
| 4日目 | 気になっていることを一つ調べ、二回掘り下げる |
| 5日目 | 考えごとを打ち込んで整理してもらう |
| 6〜7日目 | いちばん役に立った使い方を、もう一度やってみる |
続けるうちに、自分に合う使い方が一つか二つ見つかります。全部を使いこなす必要はありません。
1. 届いた通知を「普通の言葉」にしてもらう
保険会社や役所から届く文章は、なぜあれほど読みにくいのでしょうか。何をすればいいのかを探すだけで、ひと苦労です。
その文面を打ち込むか、写真で見せて、「何をすればいいかがわかるように、普通の言葉で説明してください」と頼んでみてください。やるべきことが、三行ほどにまとまって返ってきます。
ただし、通知には名前や番号が書かれていることが多いものです。写真で見せる前に、氏名や証券番号の部分は指で隠すか、写らないように撮ってください。そして締め切りや金額は、最後に元の通知で確かめます。
2. 手紙や挨拶文のたたき台を作ってもらう
お礼状、案内文、お悔やみの言葉。書き出しで手が止まる場面は多いものです。
用件と、相手との関係と、長さを伝えれば、たたき台を作ってくれます。白紙から書くより、直すほうがずっと楽です。
一度で気に入らなければ、「もう少しくだけた言い方に」「季節の挨拶を最初に入れて」「相手は目上の方です」と続けて頼めば、何度でも書き直してくれます。
返ってきた文章は、そのまま使わず、自分の言い回しに少し直してください。そのひと手間で、相手に届く手紙になります。
3. 冷蔵庫の中身から献立を考えてもらう
冷蔵庫にあるものを並べて、「これで作れる夕飯を三つ」と頼んでみてください。買い物の前に相談すれば、無駄も減ります。
作り方まで知りたいときは、「二つめの作り方を、材料の分量を入れて順番に教えてください」と続ければ、手順が返ってきます。
「塩分を控えめに」「20分以内で作れるもの」と条件を足すと、答えがぐっと自分向けになります。前回お伝えした「誰に・どれくらい・何のために」を添える作法の練習にもなります。
4. 調べ物を、会話で少しずつ深める
検索では、知りたいことに合う言葉を自分で探さなければなりません。Geminiなら、まず大まかに聞いて、気になったところを掘り下げていけます。
会話が続くので、「いまの二つめをもう少し詳しく」「それは私の場合にも当てはまりますか」と重ねるうちに、知りたい形に近づいていきます。
たとえば「年金の繰下げ受給について、まず全体像を五行で」と聞いたあと、「繰り下げると、どんな点に気をつければいいですか」と続ける。さらに「それを確かめるには、どこに問い合わせればいいですか」と聞けば、次に取るべき行動まで見えてきます。
ただし、制度や金額が絡む調べ物は、ルール2の出番です。答えは全体像をつかむための下書きとして使い、最後は役所や公式の案内で確かめてください。
5. 話し相手として、考えを整理してもらう
意外に思われるかもしれませんが、話し相手として使っている人は少なくありません。
人に話すほどではないけれど、頭の中だけでは回りきらない。そういうことは誰にでもあります。思っていることをそのまま打ち込むと、論点を整理して返してくれます。
ここでもルール1は変わりません。家族や知人の名前は伏せて書いてください。
また、返ってくるのはあくまで考えの整理です。体の不調や大きなお金の判断のように、専門家の判断が必要なことは、整理した内容を持って病院や窓口に相談してください。
聞き方に迷ったら、聞き方ごと相談する
使い道が決まっても、いざ自分の用事で頼もうとすると、どう切り出せばいいか迷うものです。そういうときは、聞き方そのものをGeminiに相談してかまいません。
「町内会の回覧板に載せる文章を書いてもらいたいのですが、どう頼めばいちばん良い答えが返りますか?頼み方の例を三つ挙げてください。」
返ってきた例をそのまま次の質問に使えます。何を聞けばいいかわからない状態から、聞ける状態へ移るところが、いちばん難しい部分です。そこを手伝ってもらうわけです。
覚えておくと便利な一文
もう一つ、覚えておくと便利な一文があります。
「いまの説明を、小学生にもわかる言葉で言い直してください。」
難しい言葉が出てきたら、この一文を打つだけで、やさしい説明に変わります。わからないまま先に進まないことが、前回のルール3でした。
慣れてきたら、少しずつ大事な用件へ
一週間ほど使うと、頼み方のこつがつかめてきます。そうしたら、少しずつ大事な用件に広げていってください。そのときに効いてくるのが、ルール2の「答えは下書き」です。
ただ、ここまでのGeminiは、まだ世の中の誰に対しても同じように答える相手です。あなたの家の事情も、手元の書類の中身も知りません。
次回からは、そこを変えていきます。
まとめ
- 使い続けるこつは、使い道を先に決めておくこと
- 最初の一週間は、通知の言い換え・手紙の下書き・献立・調べ物の整理・話し相手の5つから
- どれも間違っていても実害が出にくい。失敗しても困らない場面で慣れる
- 通知を写真で見せるときは、氏名や番号を写さない
- 聞き方に迷ったら、聞き方そのものをGeminiに相談してよい
次回は、Googleドライブに自分の資料を置き、Geminiに読ませます。AIが「世の中の平均」ではなく「あなたの事情」で答えるようになる瞬間です。
連載「Googleで始める自分だけのAI」目次
- No.01 50〜60代の3人に1人がAI未使用。止まっているのは能力ではなく「入口」
- No.02 AIはGoogleアカウントから始める。無料・もう持っている・どこでも通用する3つの理由
- No.03 Googleアカウントの「入場券」を整える ― パスワードの考え方、2段階認証、家族と分け合わない
- No.04 Geminiを安心して使う3つのルール ― 個人情報は書かない、答えは下書き、わからなければ聞き返す
- No.05 最初の一週間に試したい5つの使い道と、聞き方に迷ったときの相談のしかた(この記事)
- No.06 AIが「自分事」になる瞬間 ― Googleドライブに資料を置き、引き出しを仕切る
- No.07 NotebookLMは「Gemini Notebook」に。自分の資料だけを読むAIのつくり方と育て方
- No.08(最終回)連載のもとになった本の紹介
この連載のもとになった本
この連載は、拙著『Googleアカウントひとつ 3日でつくる自分だけのAI 「大事なのはわかってる、でも使えてない」からの卒業講座』(Kindle版)の内容をもとにしています。
本では、Googleアカウントの確認から、Geminiとの話し方、Googleドライブへの資料の置き方、Gemini Notebookで自分の資料だけを読むAIをつくるところまでを、3日分の道のりとして一冊にまとめました。新しいアプリも月額料金も使わず、スマートフォンひとつで進められるように、画面ごとの手順と図解を載せています。
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