Geminiを開くと、画面の下に文字を打ち込む細長い枠が出てきます。そこで多くの人が固まります。何を聞けばいいのか、わからないからです。
そしてもう一つ、手を止める理由があります。「変なことを書いて大丈夫だろうか」「答えをうのみにしていいのだろうか」という不安です。
今回は、最初の一往復のしかたと、安心して使い続けるための3つのルールをお伝えします。この3つさえ守れば、あとは自由に触ってかまいません。
最初の一往復は、この文をそのまま打つ
最初に何を聞くかは、決めておくと楽です。次の文をそのまま打ち込んで、送信のしるしを押してみてください。
「はじめまして。AIを使うのは今日が初めてです。何ができるのか、三つだけ簡単に教えてください。」
数秒待つと、丁寧な日本語の答えが流れるように表示されます。初めてだと伝えたことも、ちゃんとふまえた答えです。
ここで使ったのは、普通の日本語だけです。記号も専門用語もいりませんでした。AIとのやりとりは、これがすべてです。
頼み方は、人にものを頼むときと同じ
とはいえ、頼み方で答えの役立ち方は変わります。これは技術ではなく、人に頼むときと同じ作法です。
同僚に「あれ、まとめておいて」とだけ言えば、相手は困ります。AIも同じで、短すぎる頼み方には、当たり障りのない答えしか返せません。
3つを添えるだけで、答えが変わる
添えるのは、次の3つです。
- 誰に向けたものか
- どれくらいの長さか
- 何のために使うのか
たとえば「町内会のお知らせを書いて」ではなく、「町内会の年配の方に向けて、夏祭りの日程変更を知らせる文章を、三百字くらいで、回覧板に載せる前提で書いてください」と頼みます。それだけで、手直しの少ない文章が返ってきます。
うまくいかなくても、「もっと短く」「もっとやさしい言葉で」と続ければ、その場で直してくれます。何度頼み直しても、面倒がられることはありません。
ルール1:名前・住所・お金のことは書かない
1つ目は、入れてはいけないものを決めておくルールです。
2026年1月のLINEヤフーの調査では、生成AIを使ったことがある人の63.4%が「自分が入力したデータの漏洩」を不安に挙げていました。この不安への答えは、「大丈夫ですよ」と安心させることではありません。入れなければいいのです。
書かないと決める5つ
書かないと決めるのは、氏名、住所、電話番号、口座やカードの番号、勤め先の内部の情報です。
書かなくても、ほとんどの用は足ります。手紙の文面なら相手の名前を「〇〇様」と伏せておき、返ってきた文章に自分で名前を入れればいいのです。
伏せたままでも、ここまで頼める
具体的な名前が必要な場面は、思っているより少ないものです。たとえば次のような頼み方なら、個人を特定する情報は一つもいりません。
- 「70代の母が来月、白内障の手術を受けます。手術の前に医師に聞いておくとよいことを五つ挙げてください」
- 「近所の方に、庭木の枝が道にはみ出していることを、角が立たないように伝える手紙を書いてください」
- 「退職する同僚に贈る、短いお礼の言葉を三案ください」
病院名や相手の名前は、返ってきた答えを使うときに、自分で書き足せば十分です。
会話の保存は、自分で決められる
Geminiの会話は、初めは保存される設定になっています。あとから見返せるようにするための仕組みです。
Googleのヘルプによると、保存した会話の一部は、サービス改善のために人のレビュアーが見ることがあります。気になる方は、設定の「アクティビティの保存」をオフにできます。ただしオフにしても、会話は72時間はアカウントに保持されます。
なお、この連載の後半で使う「Googleドライブの資料をGeminiに読ませる」機能は、この保存がオンでないと使えません。オフにする場合は、そこも含めて自分で選んでください。
ルール2:答えは「下書き」だと思う
2つ目は、受け取り方のルールです。同じLINEヤフーの調査では、47.3%が「誤った情報を見落として使ってしまうこと」を不安に挙げています。
これは正しい感覚です。AIは、もっともらしい間違いを堂々と述べることがあります。悪気があるわけではなく、そういう性質の道具なのです。
ですから、AIの答えは完成品ではなく下書きだと決めてください。下書きなら、目を通して、おかしなところを直し、大事な数字は元の資料で確かめる。これまで家族や同僚の下書きにしてきたことと同じです。
確かめるもの、確かめなくてよいもの
| 使い方 | 確かめ方 |
|---|---|
| 日付・金額・人の名前・制度の内容 | 必ず役所・病院・公式の案内で裏を取る |
| 手続きの締め切り、補助金の条件、薬の名前 | 実害が出るので、必ず元の書類で確かめる |
| 言い回しを整える、考えを箇条書きにする | 自分で読んで違和感がなければ、そのまま使ってよい |
| 難しい言葉をやさしく言い換える | 意味が変わっていないかだけ見ればよい |
まずは、表の下の2つのような、正しい・間違いが問題になりにくい使い方から慣れていくのが、いちばん安全な順番です。

ルール3:わからなければ、そのまま聞き返す
3つ目は、自分を守るためのルールです。調査では、46.2%が「生成AIへの依存」を不安に挙げていました。頼りすぎて、自分で考えられなくなるのではないかという心配です。
この心配は、真剣に受け止めるべきだと思います。ただ、考えられなくなる原因は、AIを使うことそのものではありません。わからないまま受け取って、そのまま使うことです。
答えの中に知らない言葉が出てきたら、その場で聞き返してください。「いまの説明の中の〇〇という言葉を、中学生にもわかるように説明してください」。この一文で、かみ砕いた説明が返ってきます。
言葉の意味がわかったら、「その言葉は、どんな場面で使いますか。例を一つ挙げてください」と続けるのも効果的です。意味と使い方がそろうと、自分の言葉として残ります。
聞き返しを習慣にすると、AIは考える力を奪う道具ではなく、何度聞いても嫌な顔をしない先生に変わります。
答えが違ったときの直し方
実際によく起きる場面と、そのときの一言をまとめておきます。
- 的外れだったとき:「そうではなくて、私が知りたいのは〇〇のことです」と伝え直す
- 長すぎるとき:「三行にまとめてください」と頼む。短すぎるなら「もう少し詳しく」
- 言葉が難しいとき:「もっとやさしい言葉で」と添える
- 話がかみ合わなくなったとき:会話が長くなって筋がねじれていることが多いので、新しい会話を始める
怒る必要も、自分の聞き方が悪かったと落ち込む必要もありません。やり直しても、何も失われません。
まとめ
- 最初の一往復は、普通の日本語で「初めてです」と伝えるだけでよい
- 頼むときは「誰に・どれくらいの長さで・何のために」を添える
- ルール1:氏名・住所・電話番号・口座やカードの番号・勤め先の内部情報は書かない
- ルール2:答えは下書き。日付・金額・名前・制度は必ず公式の情報で確かめる
- ルール3:わからない言葉は、その場で聞き返す
次回は、ルールの範囲で安心して試せる「最初の一週間の使い道」を5つ紹介します。聞き方に迷ったときの相談のしかたもお伝えします。
連載「Googleで始める自分だけのAI」目次
- No.01 50〜60代の3人に1人がAI未使用。止まっているのは能力ではなく「入口」
- No.02 AIはGoogleアカウントから始める。無料・もう持っている・どこでも通用する3つの理由
- No.03 Googleアカウントの「入場券」を整える ― パスワードの考え方、2段階認証、家族と分け合わない
- No.04 Geminiを安心して使う3つのルール ― 個人情報は書かない、答えは下書き、わからなければ聞き返す(この記事)
- No.05 最初の一週間に試したい5つの使い道と、聞き方に迷ったときの相談のしかた
- No.06 AIが「自分事」になる瞬間 ― Googleドライブに資料を置き、引き出しを仕切る
- No.07 NotebookLMは「Gemini Notebook」に。自分の資料だけを読むAIのつくり方と育て方
- No.08(最終回)連載のもとになった本の紹介
この連載のもとになった本
この連載は、拙著『Googleアカウントひとつ 3日でつくる自分だけのAI 「大事なのはわかってる、でも使えてない」からの卒業講座』(Kindle版)の内容をもとにしています。
本では、Googleアカウントの確認から、Geminiとの話し方、Googleドライブへの資料の置き方、Gemini Notebookで自分の資料だけを読むAIをつくるところまでを、3日分の道のりとして一冊にまとめました。新しいアプリも月額料金も使わず、スマートフォンひとつで進められるように、画面ごとの手順と図解を載せています。
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出典:LINEヤフー「生成AIの利用規約・注意書き」に関する調査(ECのミカタの記事、2026年1月調査)、Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリのプライバシー ハブ」、Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリでファイルをアップロードして分析する」

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