簿記においては期中に発生する仕訳の他に期末に行う決算整理仕訳があります!
前回は決算整理仕訳③減価償却費について解説しましたが、今回は決算整理仕訳5回の内の4回目となります
今回は「貸し倒れ」に関する決算整理仕訳の具体的な内容についてまとめて行きたいと思います!
今回は全体の解説では第12回目となります!
今日もガンバル!
貸倒引当金の繰入れ
貸倒損失
「貸倒損失(費用)」は売掛金、受取手形や貸付金などの相手先が倒産などによって支払いが不可能となり、代金を回収する見込みがなくなった場合に計上します
また、このような状況を貸し倒れと呼びます
仕訳の例は以下のようになります
(5月1日にネコ商店に商品¥100,000分を掛けで販売した)
売掛金 100,000 | 売上 100,000 |
(資産の増加) | (収益の増加) |
(6月1日にネコ商店が倒産し相手先に対する売掛金について回収できない見込みとなった)
貸倒損失 100,000 | 売掛金 100,000 |
(費用の増加) | (資産の減少) |
償却債権取立益
上記のように貸し倒れに関する仕訳を行った後に代金の一部を回収できる場合があります
このような場合は、当期中に貸し倒れを計上したものか、前期に貸し倒れを計上したものであるかによって仕訳内容が異なります
当期中に貸し倒れとして仕訳したものについて代金を回収できた場合は、すでに計上した貸倒損失を取り消す仕訳を行います
一方で前期に貸し倒れとして仕訳したものについて代金を回収できた場合は、「償却債権取立益(収益)」を用いて仕訳を行います
仕訳の例は以下のようになります
(6月1日にネコ商店が倒産し売掛金に対する貸倒損失を計上したが、翌月の7月1日に代金の一部である¥30,000を回収した)
現金 30,000 | 貸倒損失 30,000 |
(資産の増加) | (費用の減少) |
(前期にネコ商店が倒産し売掛金に対する貸倒損失を計上したが、代金の一部である¥20,000を回収した)
現金 20,000 | 償却債権取立益 20,000 |
(資産の増加) | (収益の増加) |
貸倒引当金
「貸倒引当金」とは翌期以降に発生する恐れのある貸し倒れを想定し決算時に仕訳し計上するもので、勘定科目としては資産のマイナス勘定となります
また貸倒引当金を増やすことを貸倒引当金の繰り入れと呼び、この際に用いる勘定科目が「貸倒引当金繰入(費用)」となります
貸倒引当金繰入の計算には過去の実績などから貸倒実績率という発生率を設定し、売掛金や受取手形のうち何%が貸し倒れとなるかを予測します
仕訳の例は以下のようになります
(決算時に売掛金の残高が¥500,000、受取手形の残高が¥300,000であった この内3%については回収できない見積りとした)
(¥500,000 + ¥300,000) × 3% = ¥24,000
貸倒引当金繰入 24,000 | 貸倒引当金 24,000 |
(費用の増加) | (資産の減少) |
以上は前期の貸倒引当金がゼロの場合を想定していますが、決算時に貸倒引当金の残高が残っている場合もあります
貸倒引当金の残高がある場合は、貸倒実績率にて計算した金額と決算整理前の帳簿上の残高の差額分を計上することになります
この考え方を差額補充法と呼びます
仕訳の例は以下のようになります
(決算時に売掛金の残高が¥500,000、受取手形の残高が¥300,000であった この内3%については回収できない見積りとした また決算整理前の帳簿上に貸倒引当金の残高が¥10,000であった)
(¥500,000 + ¥300,000) × 3% = ¥24,000
¥24,000 -¥10,000 = ¥14,000 ⇒ 貸倒引当金繰入の金額
貸倒引当金繰入 14,000 | 貸倒引当金 14,000 |
(費用の増加) | (資産の減少) |
ここでもし計算した貸倒引当金の金額よりも実際の貸倒引当金の残高の方が大きい場合は「貸倒引当金戻入(収益)」を用いて以下のように仕訳を行います
(決算時に売掛金の残高が¥500,000、受取手形の残高が¥300,000であった この内3%については回収できない見積りとした また決算整理前の帳簿上に貸倒引当金の残高が¥50,000であった)
(¥500,000 + ¥300,000) × 3% = ¥24,000
¥50,000 -¥24,000 = ¥26,000 ⇒ 貸倒引当金戻入の金額
貸倒引当金 26,000 | 貸倒引当金戻入 26,000 |
(マイナス資産の減少) | (収益の増加) |
前期までに発生した売掛金が貸し倒れた場合の仕訳は以下のようになります
(6月1日にネコ商店が倒産し相手先に対する売掛金について回収できない見込みとなった ネコ商店への売掛金残高は¥15,000円であり前期の決算時に計上した売掛金残高¥500,000に含まれる)
貸倒引当金 15,000 | 売掛金 15,000 |
(マイナス資産の減少) | (資産の減少) |
また当期に発生した売掛金が含まれる場合の仕訳は以下のようになります
(6月1日にネコ商店が倒産し相手先に対する売掛金について回収できない見込みとなった ネコ商店への売掛金残高は¥15,000円であり、この内¥10,000については前期の決算時に計上した売掛金残高¥500,000に含まれる 残りの¥5,000については当期に販売した分の売掛金である)
貸倒引当金 貸倒損失 | 10,000 5,000 | 売掛金 15,000 |
(マイナス資産の減少) (費用の増加) | (資産の減少) |
貸し倒れが発生した際に貸倒引当金が足りない場合の仕訳の例は以下のようになります
(6月1日にネコ商店が倒産し相手先に対する売掛金について回収できない見込みとなった ネコ商店への売掛金残高は¥30,000円であり前期の決算時に計上した売掛金残高¥500,000に含まれる 貸倒引当金の残高は¥24,000である)
貸倒引当金 貸倒損失 | 24,000 6,000 | 売掛金 30,000 |
(マイナス資産の減少) (費用の増加) | (資産の減少) |
前回・次回の内容紹介
前回は「決算整理仕訳③ 減価償却費」に関する解説をしております!
次回は「決算整理仕訳⑤ 売上原価の算定と損益振替」に関する解説をしております!
簿記3級試験の受験情報
受験情報につきましては以下の記事にて解説をしております!
スケジュールに合わせた目標設定が大事!
簿記の活用方法
簿記の知識を有効活用する方法については以下の記事にて解説をしておりますので、ご興味がありましたら参照いただけますと幸いです!
参考動画のご紹介
下記のyoutube動画を参考にさせていただいておりますので、ご興味のある方はご参照くださいm(_ _)m
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